Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
一
F
「もしかしてさっき言ってた鍵を手に入れた弟って……」
「まさしく、この涼介です」
みのりの言葉に雅秋が頷く。
「そんな……てことは、こいつと一緒に行動しないとダメってことなの」
ぶつぶつと何やら失礼な言葉を吐くみのりを横に、
涼介は雅秋に手に入れた梅の種を見せた。
「鍵? じゃあこれが鍵ってこと?
ならこれを渡せばお役御免ってことでいいんですか、兄さん?」
だが雅秋はこちらの言葉を無視してみのりへ話しかける。
「だから言ったではないですか。駒としてお使いください、と」
「冗談じゃないですよ。俺は面倒なことはごめんです。もう帰りますよ」
梅の種をポケットにしまい込み踵を返しかけるが、
先にみのりがぽんと手を叩いた。
「そうか、そうよね。私に渡しなさい」
にこやかに右手を出してくるみのりの態度に、腹が立つ。
ふつりと何かが切れる音がして、涼介は笑顔を作った。
「碧さん、受け取ってくれますか?」
みのりを無視してにこやかに碧へ問いかけると、
碧が顎に手をあてる。
「ふむ。1つ質問してもよいですか?」
思案顔のまま尋ねてくる碧へ、涼介は笑顔を正し真面目に頷く。
「はい。なんでしょう?」
「これは涼介君が1人で見つけたのですか?」
碧の質問へ涼介は答えた。
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