Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




A




「のみさんね〜? どこかで聞いたことがあるような? ないような?」

「そうか。じゃあ一族文献にでも当たってみるしかないか……。

けど、この状態で図書館に行くわけにもいかないしなあ」

 次期当主であるみのりがうろ覚えということは、

むやみに文献を当たってもなかなか欲しい情報は見つけられないだろう。

(俺も「のみ」なんて名前聞いたこともないし)

 昔散々聞いた話の中にもでてきていなかった気がする。

(面倒なことになったなあ……)

 事態は収まるどころがさらに複雑化してきてしまっているようだ。

涼介がこっそり溜め息をついていると、

またしても手のひらに鎮座した雪姫が騒ぎだした。

「の゛み゛ー、わらわはここにいるマロー」

 四肢を悶えさせて「のみ」という名を呼び続ける雪姫を見て、

みのりが吐息した。

「こんな大きな声で泣かれちゃったら目立っちゃうわよね」

 手のひらにいる雪姫を手で隠し、みのりがあたりを窺う。

「ふむ……。ん?」

 涼介はみのりに倣い周囲を見渡し、おもむろに目を見開いた。

「でもさっきからこんなに泣いてるってのに、

誰一人俺たちに気づいてる感じがしないんだけど」

 わき起こった疑問を口にすると、

みのりが雪姫を見つめながら首をかしげてくる。










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