Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
五
B
「もしかして雪姫様のこと見えてないのかしら?」
ゆっくりと顔を上げるみのりと目が合い、彼女が驚いたように目を見開く。
「え、じゃあこのつんざくような泣き声も聞こえてないってことかい?」
不思議に思って顔を近づけると、みのりが飛び跳ねて一歩後ずさった。
「なんでいきなり離れるんだよ。傷つくなあ」
いくら自分のことをよく思っていないとはいえ、
急に飛び退くことはないではないか。
少しばかりむっとして文句を言うと、
雪姫の泣き声に交じってみのりが視線を逸らしつつ答えてきた。
「だって、その……い、いいじゃない別に!」
「の゛ーひっく、み゛ー」
「…………まあ、いいけど……」
本当は全然よくはないのだが、涼介は不満を呑みこみ雪姫を見る。
「わぁーん、の゛み゛ー」
雪姫はあいかわらず咽び泣き、とどまる様子もない。
「ゆ、雪姫様、そんなに泣かないでください。
私たちがのみさんを探しますから!」
「そうですよ。必ず捜しだしますから。安心してください」
慌ててあやし始めるみのりの言葉に乗り言葉を重ねると、
雪姫がゆるゆると顔をあげた。
「ひっく、ほ、本当マロ?」
ほら、何かほしいものとか行きたいところとかないですか?」
涼介が水を向けると、雪姫が小さな口を開き高く掠れた声をだした。
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