Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




B




「もしかして雪姫様のこと見えてないのかしら?」

 ゆっくりと顔を上げるみのりと目が合い、彼女が驚いたように目を見開く。

「え、じゃあこのつんざくような泣き声も聞こえてないってことかい?」

 不思議に思って顔を近づけると、みのりが飛び跳ねて一歩後ずさった。

「なんでいきなり離れるんだよ。傷つくなあ」

 いくら自分のことをよく思っていないとはいえ、

急に飛び退くことはないではないか。

少しばかりむっとして文句を言うと、

雪姫の泣き声に交じってみのりが視線を逸らしつつ答えてきた。

「だって、その……い、いいじゃない別に!」

「の゛ーひっく、み゛ー」

「…………まあ、いいけど……」

 本当は全然よくはないのだが、涼介は不満を呑みこみ雪姫を見る。

「わぁーん、の゛み゛ー」

 雪姫はあいかわらず咽び泣き、とどまる様子もない。

「ゆ、雪姫様、そんなに泣かないでください。

私たちがのみさんを探しますから!」

「そうですよ。必ず捜しだしますから。安心してください」

 慌ててあやし始めるみのりの言葉に乗り言葉を重ねると、

雪姫がゆるゆると顔をあげた。

「ひっく、ほ、本当マロ?」

ほら、何かほしいものとか行きたいところとかないですか?」

 涼介が水を向けると、雪姫が小さな口を開き高く掠れた声をだした。










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