Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
五
C
「欲しいものマロ? のどが渇いたマロ!」
雪姫がひっくと大角膜を震わせながら涼介を見る。
涙で濡れた大きな瞳と赤く染まった鼻があまりにも庇護欲をそそり、
みのりは悶絶した。
(か、可愛い)
どうして雪姫が見ているのが自分ではなく彼なのだろうか。
先に外へ出るよう促したのが自分なのだから仕方がない。
そう言い聞かせながらも、支払いに回ったことを悔やんだ。
(あー、でもあんな間近で見たら鼻血出ちゃうかもしれないわよね)
それは困る。それならば少し離れた場所から
雪姫の愛らしさを堪能しているほうがいいだろう。
「じゃあ自販機で水でも買ってきましょうか。
みのりさん、雪姫様を頼むよ」
気を取り直して涼介たちを生暖かく見守っていると、
涼介は手のひらにいる雪姫を落とさないよう慎重に動かしながら
こちらへ身体を向けてきた。
(私がうらやましそうに見てたのわかったのかしら?)
絶妙なタイミングで振り返った青年にドクリと心臓が跳ねる。
と同時に雪姫が、はい、と小さな手を垂直に伸ばした。
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