Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




E




(この子、本当に雪姫様なのかしら?)


 伝承では雪姫は普通の人間だったはずだ。

梅宮に代々伝わる書物にも雪姫がこんなに小さな姿をしていたとは

書かれていない。


(黄金梅を植えるって決めてから不思議なことばっかりで

驚き疲れちゃったわ)


 みのりはため息をつきながら、

すんすんと鼻を鳴らす雪姫の頭をなでた。


(何これ、ツヤツヤなのにスベスベ! 癒やされるー)

「左に行った角にあると思うよ。俺ちょっと行ってくる」


 現実逃避している間に、涼介が走り出す。

みのりは慌てて止めに入った。


「えっ、ちょっと待ってよ」


 その時だ。

カバンの中に入れていた携帯が辺りに響き渡る。

それは涼介の足を止めるのにも十分だったようだ。

こちらに踵を返す青年に安堵しながら、

みのりはカバンの中を漁った。










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