Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




F




「もしもし碧? 今どこにいるの?」


 もたつきながらもなんとか取り出した携帯を出ると、

先ほど別れ別れになってしまった側近の耳に心地よい声が

聞こえてくる。


「トニーズの近くにあるミニーマートの駐車場? ってどこよ」


 淡々と説明される言葉に首を傾げながら涼介を見た。


「それなら俺が行こうとしてたところだよ」

「氷はまだマロ? わらわは氷を所望するマロー」


 なんでもないことのように話す涼介の声を遮るように、

雪姫が再び騒ぎ始める。

せっかく宥めすかして落ち着いたと思ったのに、

これではすべて水の泡だ。

みのりはおざなりな対応で携帯を切った。


「あ、碧、今からそっちへ向かうから待ってて」

「氷!! 氷を所望するマロー!」

「ちょうどいい。碧さんが待ってるなら急ごう」

「ええ。雪姫様、氷はすぐご用意しますから泣き止んでください」


 みのりは再び涙をポロポロと流す雪姫の頭をなでる。


「すんすん。本当マロ?」

「も、もちろんです。ねっ」


 潤んだ瞳で見上げられ、みのりは一瞬言葉をつまらせた。

まさかさっき羨ましく思っていた雪姫の上目遣いを

正面から拝むことができるなんて。

みのりは沸き立つ感情どうにか抑えながら、

涼介へ視線を向ける。


「もちろんです」


 緩んだままの顔がそんなに変な顔だったのだろうか。

涼介は目を丸く見開くと、

目線を逸らすようにこくこくと顔を縦に振った。










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