Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




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「碧さんには見えないのに

紅さんには見えるってのは不思議だな」


 涼介が雪姫を見ようと体を屈める。

みのりは近づいてきた彼の体温に、ドキリと目を見張った。


(さっきから無自覚に近づきすぎなのよ)


 眼前に涼介の黒くサラサラとした髪の毛が揺れる。

自分の息が彼の髪の毛を揺らしてしまうかもしれない。

そう考えるだけで上手く呼吸ができなくなった。


(無闇に女子に顔を近づけるんじゃないわよ)


 一度きちんと説教したほうがいいのかもしれない。

みのりは口を開こうと息を吸い込む。

しかし言葉を発する前に碧の声に遮られてしまった。


「いえ、涼介君。僕にも見えてますよ」

「そうでしたか。すみません碧さん」


 涼介が何事もなかったかのように姿勢を直して碧へ向き合う。


(なんなのよ! 1人で動揺してた私がバカみたいじゃない)


 あっという間に離れていく涼介の顔に安堵しつつも、

自分だけがわたわたしていたことが理不尽に思えて

みのりは顔をしかめる。

だが、そんなこちらを心底面白そうに見つめている視線に気づき、

みのりは顔をひきつらせた。










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