Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




IA




「お嬢様、その人形は涼介君からのプレゼントですか?」

「にんぎょう、プレッ、違うわよ。

こいつがアイスを種にかけたら出てきちゃったのよ」


 ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべる碧へ慌てて訂正を入れる。


「確かにそうだけど。そんな言い方ないだろ」

「本当のことでしょう」


 ムッとする涼介をみのりが睨みつける。

だがそれがいけなかったようだ。

碧がまた嬉々として表情をこちらへ向けてきた。


「僕たちと別れたあとに親交を深められたのですね。

いやー若者は早いですねー」

「い、いえ。俺はそんなことは……!」


 なんだか話が変な方向に進んでいる気がする。

みのりは熱くなる頬を無視して碧へ異議を唱えた。


「早いって、親交なんて深まってないし」

「……アイス」

「紅、僕が近いうちにアイスを食べさせてあげますから

悲しい顔をしないでください」

「そ、そうよ、紅。今度一緒にいきましょう」


 紅の小さな呟きに空気が一気に変わる。

みのりはこの状況を逃してなるものかと碧をおしやり、

紅へ近づく。

はい、と嬉しそうに頷く紅に和んでいると

静かだった雪姫が突然暴れ出した。


「氷!! 氷はまだマロ!!

わらわは早急に氷を所望するマロ」

「そうだった! 今買ってきますから!」

「それじゃ、私たちは車の中で待ってるわ」


 雪姫の一声で止まっていた時間が動き出す。

みのりは、店の中へ入っていく涼介を確認してから

車へ乗り込んだ。










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