Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
五
IA
「お嬢様、その人形は涼介君からのプレゼントですか?」
「にんぎょう、プレッ、違うわよ。
こいつがアイスを種にかけたら出てきちゃったのよ」
ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべる碧へ慌てて訂正を入れる。
「確かにそうだけど。そんな言い方ないだろ」
「本当のことでしょう」
ムッとする涼介をみのりが睨みつける。
だがそれがいけなかったようだ。
碧がまた嬉々として表情をこちらへ向けてきた。
「僕たちと別れたあとに親交を深められたのですね。
いやー若者は早いですねー」
「い、いえ。俺はそんなことは……!」
なんだか話が変な方向に進んでいる気がする。
みのりは熱くなる頬を無視して碧へ異議を唱えた。
「早いって、親交なんて深まってないし」
「……アイス」
「紅、僕が近いうちにアイスを食べさせてあげますから
悲しい顔をしないでください」
「そ、そうよ、紅。今度一緒にいきましょう」
紅の小さな呟きに空気が一気に変わる。
みのりはこの状況を逃してなるものかと碧をおしやり、
紅へ近づく。
はい、と嬉しそうに頷く紅に和んでいると
静かだった雪姫が突然暴れ出した。
「氷!! 氷はまだマロ!!
わらわは早急に氷を所望するマロ」
「そうだった! 今買ってきますから!」
「それじゃ、私たちは車の中で待ってるわ」
雪姫の一声で止まっていた時間が動き出す。
みのりは、店の中へ入っていく涼介を確認してから
車へ乗り込んだ。
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