Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
五
IC
「氷ー、しくしく」
涼介はまたしても泣きだしてしまった雪姫へ声をかける。
「雪姫様、どんな感じの氷がいいんですか?」
「わらわは、氷の、ひっく山を所望するマロ」
大粒の涙を拭きふき答えてくる雪姫の言に、
みのりが眉根を寄せた。
「氷の山?」
「スキー場とかですか?」
運転席の碧が口を開くと、みのりがかぶりを振る。
「スキー場なんて黄梅にはないから無理よ」
涼介は腕を組み考えた。
「氷の山、氷の山……。山で食べるものって言ったらかき氷だよな」
呟くと、助手席の紅が呟く。
「かき氷……おいしそう」
「紅! 僕と一緒にかき氷も食べにいきましょうね」
歓喜しきった碧の言葉にみのりが反応した。
「かき氷……あっ! もしかして」
みのりが鞄をごそごそとしはじめる。
「かき氷なんてまだ売ってるところないよなあ……って、ん?」
何気なくみのりの様子を見つめていた涼介は、
取りだされた金具を見て目を瞠る。
軽い興奮とともにみのりを見やると、
顔をあげた彼女と目が合った。
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