Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
C
「女将、お久しぶりです。
予約もなしに突然すみません。離れは空いてますか?」
碧の問いに女将があでやかな笑みを浮かべてくる。
「これは碧様。ようこそお越しくださいました。
ちょうど2部屋ばかり空きがございますが。いかがいたしますか?」
「ありがとうございます。では、その2部屋をお願いします」
「かしこまりました。ではご案内させていただきます」
一礼してくる女将に対し、涼介もお辞儀で答えた。
「よろしくお願いいたします」
軽く会釈していると、後方からみのりの声が聞こえてくる。
「ちょ、ちょっと碧、ここの女将と知り合いなの?」
「えー、まあ。大人のたしなみとしてですがね」
「大人のたしなみってまさか……」
碧の答えにみのりが頬を赤らめると、紅の眉が小さくあがった。
「兄さん、不潔」
「紅ー!!」
切って捨てるような紅の物言いに、碧の叫びが廊下へこだまする。
「ち、違うんだよ紅。僕はやましいことは何1つだってしてないからね」
「まあまあ。碧さんだって大人の男性なんだからさ」
涼介は必死で弁解を試みている碧が痛ましく、2人の会話に割って入った。
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