Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




C




「女将、お久しぶりです。

予約もなしに突然すみません。離れは空いてますか?」

 碧の問いに女将があでやかな笑みを浮かべてくる。

「これは碧様。ようこそお越しくださいました。

ちょうど2部屋ばかり空きがございますが。いかがいたしますか?」

「ありがとうございます。では、その2部屋をお願いします」

「かしこまりました。ではご案内させていただきます」

 一礼してくる女将に対し、涼介もお辞儀で答えた。

「よろしくお願いいたします」

 軽く会釈していると、後方からみのりの声が聞こえてくる。

「ちょ、ちょっと碧、ここの女将と知り合いなの?」

「えー、まあ。大人のたしなみとしてですがね」

「大人のたしなみってまさか……」

 碧の答えにみのりが頬を赤らめると、紅の眉が小さくあがった。

「兄さん、不潔」

「紅ー!!」

 切って捨てるような紅の物言いに、碧の叫びが廊下へこだまする。

「ち、違うんだよ紅。僕はやましいことは何1つだってしてないからね」

「まあまあ。碧さんだって大人の男性なんだからさ」

 涼介は必死で弁解を試みている碧が痛ましく、2人の会話に割って入った。










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