Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




D




「お嬢さま、行こ」

 紅が冷たい目で碧を一睨みすると、みのりの手をとる。

みのりが手をひく紅におとなしくついていきながら、

こちらを振り返ってきた。

「あんたもこういうところ来ちゃったりするの?」

 探るようなみのりの視線に涼介は胸が騒ぐ。

「え? 俺? 俺は全然そういうのは縁がないなあ」

 慌てて目を逸らし頭をかくと、

みのりの明るい声が聞こえてきた。

「そう、良かったぁ。

じゃなくて、あんたはそんな甲斐性なさそうだものね」

 どこか嬉しげなその声音に、涼介は明後日に向いていた瞳を戻す。

「あれ? 俺のこと気になるの?」

 ふと湧いた悪戯心で尋ねると、

今度はみのりがそっぽを向いてしまった。

「べべべ別に、ああああんたのことななんか、ききき気になんてならないわよ!」

 語気を強めて告げられた言葉に涼介は小さく吐息する。 

(まあ、言うだけ無駄なのは知ってるけど……)

 それでも少しは気にしてくれているのでは、

と淡い期待を抱いた自分に恥じ入り視線を落とした。










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