Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
D
「お嬢さま、行こ」
紅が冷たい目で碧を一睨みすると、みのりの手をとる。
みのりが手をひく紅におとなしくついていきながら、
こちらを振り返ってきた。
「あんたもこういうところ来ちゃったりするの?」
探るようなみのりの視線に涼介は胸が騒ぐ。
「え? 俺? 俺は全然そういうのは縁がないなあ」
慌てて目を逸らし頭をかくと、
みのりの明るい声が聞こえてきた。
「そう、良かったぁ。
じゃなくて、あんたはそんな甲斐性なさそうだものね」
どこか嬉しげなその声音に、涼介は明後日に向いていた瞳を戻す。
「あれ? 俺のこと気になるの?」
ふと湧いた悪戯心で尋ねると、
今度はみのりがそっぽを向いてしまった。
「べべべ別に、ああああんたのことななんか、ききき気になんてならないわよ!」
語気を強めて告げられた言葉に涼介は小さく吐息する。
(まあ、言うだけ無駄なのは知ってるけど……)
それでも少しは気にしてくれているのでは、
と淡い期待を抱いた自分に恥じ入り視線を落とした。
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