Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
F
「へ? 何の話よ?」
尋ね返してくるみのりへ返す前に、紅が口を挟んでくる。
「雪姫の話、意味不明」
「そうよね。でも女将さんにはわかってるみたい」
みのりが頬に人差し指をあてながら言葉を紡ぎ、
次の瞬間軽く目を見開いた。
「って、待って、女将さんには雪姫が見えないんじゃないの?」
みのりの言葉に涼介は息を呑む。
そういえば、雪姫は他の人間には見えないのではなかっただろうか。
驚きとともに女将を見つめると、女将がふと笑んだ。
「いずれお分かりになりますよ。
ささ、こちらが桜の間と梅の間でございます」
意味深な言葉とともに部屋へ通され腑に落ちない気分でいると、
みのりが小さく頷き小首をかしげた。
「はあ……って、え、どういうこと? 雪姫が見えてるってこと?」
納得いかない表情でみのりがこちらを見つめてくる。
(ち、近いって!)
涼介は間近に迫ってきた顔を前に狼狽えた。
「さ、さあ?」
またしてもうるさく鼓動し始めた心臓を笑顔でごまかす。
とっさに彷徨わせた目の先には、女将の不可思議な笑みがあった。
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