Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




F




「へ? 何の話よ?」

 尋ね返してくるみのりへ返す前に、紅が口を挟んでくる。

「雪姫の話、意味不明」

「そうよね。でも女将さんにはわかってるみたい」

 みのりが頬に人差し指をあてながら言葉を紡ぎ、

次の瞬間軽く目を見開いた。

「って、待って、女将さんには雪姫が見えないんじゃないの?」

 みのりの言葉に涼介は息を呑む。

そういえば、雪姫は他の人間には見えないのではなかっただろうか。

驚きとともに女将を見つめると、女将がふと笑んだ。

「いずれお分かりになりますよ。

ささ、こちらが桜の間と梅の間でございます」

 意味深な言葉とともに部屋へ通され腑に落ちない気分でいると、

みのりが小さく頷き小首をかしげた。

「はあ……って、え、どういうこと? 雪姫が見えてるってこと?」

 納得いかない表情でみのりがこちらを見つめてくる。

(ち、近いって!)

 涼介は間近に迫ってきた顔を前に狼狽えた。

「さ、さあ?」

またしてもうるさく鼓動し始めた心臓を笑顔でごまかす。

とっさに彷徨わせた目の先には、女将の不可思議な笑みがあった。










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