Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
IA
「碧さん、ちょっとお話が……」
「なんでしょうか?
あ、お嬢様、話し合いはあとでも逃げませんよ。
紅、お嬢様をお連れして」
「わかった。お嬢さま」
とりあえず涼介の足止めは成功したのだからよしとしよう。
碧の言うとおりにするのは癪だが、
普段よりはしゃいでいる紅の様子にみのりは頬を緩めた。
「もう、仕方ないわね」
「わらわは水風呂を所望するマロー」
涼介の肩に座っていた雪姫を引き取ると、
すぐに全身を使って手のひらの上を飛び跳ねる。
「それじゃ、雪姫、紅、行きましょう」
どう考えてもこの小さな雪姫と梅宮の始祖とも言われている
雪姫が同一人物だとは思えない。
黄金梅を実らせたと言われている雪姫には畏怖や、
カリスマ性を感じた。
対して未だに手の上でぴょんぴょんと跳ねている雪姫には
それらが一切見いだせない。
そのせいもあってかみのりは小動物のように愛らしい雪姫に
へりくだることを止め、普通に話しかけていた。
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