Gold Plum





第二章


交錯


〜みのり&涼介の場合〜




IA




「碧さん、ちょっとお話が……」

「なんでしょうか?

あ、お嬢様、話し合いはあとでも逃げませんよ。

紅、お嬢様をお連れして」

「わかった。お嬢さま」


 とりあえず涼介の足止めは成功したのだからよしとしよう。

碧の言うとおりにするのは癪だが、

普段よりはしゃいでいる紅の様子にみのりは頬を緩めた。


「もう、仕方ないわね」

「わらわは水風呂を所望するマロー」


 涼介の肩に座っていた雪姫を引き取ると、

すぐに全身を使って手のひらの上を飛び跳ねる。


「それじゃ、雪姫、紅、行きましょう」


 どう考えてもこの小さな雪姫と梅宮の始祖とも言われている

雪姫が同一人物だとは思えない。

黄金梅を実らせたと言われている雪姫には畏怖や、

カリスマ性を感じた。

対して未だに手の上でぴょんぴょんと跳ねている雪姫には

それらが一切見いだせない。

そのせいもあってかみのりは小動物のように愛らしい雪姫に

へりくだることを止め、普通に話しかけていた。










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