Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
IB
「雪姫様も呼び捨てなんて、さすが無敵だなあ、みのりさんは……」
にぎやかしく温泉へと向かうみのりの後ろ姿を見ながら涼介は呟く。
自分にはどうにもそんな度胸はない。
あれが自分の見合い相手とは、などと複雑な気持ちで見守っていると、
隣にいた碧がくすりと笑んだ。
「小さすぎて本物だと思われてないんでしょうね。きっと」
「ああ、なるほど……」
「ちなみに僕の紅も雪姫様のことを呼び捨てにしてますけどね」
碧の発言に苦笑していると、碧がドヤ顔を向けてきた。
涼介は妹思いな碧の言葉に心底感心する。
「碧さんは紅さんが本当に大切なんですね。
なんだかうらやましいですよ」
敬愛を込めて碧を見つめ返すと、碧はますます胸を逸らしてきた。
「当然です。紅以上の子はいませんからね。
うらやましいと思うなら涼介君もそういう相手を作ればよいのですよ。
例えばみのりお嬢様はいかかですか?」
「え?」
碧の提案に涼介は目をしばたたかせる。
話の展開についていけず碧へ問いかけた。
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