Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
IC
「でもみのりさんは俺の妹にはなれないでしょう?」
首をかしげて尋ねると、碧が瞳を細めた。
「大切な存在というのは何も妹とは限りませんよ」
「大切な存在……ですか?」
碧の言に倣い思考を巡らせる。
ふと、みのりのはじけるような笑みを思いだし佇んだ。
「……いや、でも彼女は俺を嫌ってますし……」
そうだ。忘れてはならない。
彼女は自分を顔も見るのが嫌なほど嫌っているのだから。
涼介が溜め息をついていると、今度は碧が驚いた顔を向けてきた。
「嫌っている?
涼介君にはお嬢様が君のことを嫌っていると映っているのですか?」
「え、いや、だって毛虫のごとく嫌われてるし、
さっきも飛び退かれたし……」
碧の問いかけに涼介は先刻のみのりの態度を思い浮かべる。
あんな態度を取られてそれでも好かれていると思える自信は、
今の自分にはない。
頭に手をやり吐息していると、碧が謎めいた笑みを見せた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|