Gold Plum
第二章
交錯
〜みのり&涼介の場合〜
六
IE
「おや? 止まってしまいましたね。せっかちなお兄さんだ」
碧は電話の向こうで忌々しそうに舌打ちをしているであろう
涼介の兄を思い浮かべ、くすりと肩を揺らした。
みのりが安易に彼らの案を承諾したときには、
本気で本家から逃げるつもりがあるのかと呆れたものだ。
少し痛い目にあったほうがみのりのためだと思いしぶしぶ従ったが、
彼女の行動はあながち間違えではなかったのかもしれない。
碧は静かになった携帯を困り顔で見つめている涼介を眺めながら、
そう考えを改めた。
みのりの見合い相手でもある梅畑涼介の同行。
それはこちらの如何によっては梅畑雅秋が何を企んでいるのかを
探れるチャンスでもあるということだ。
なぜだかはわからないが、
幸運にも涼介は自分に対し好意を持っている。
それならばあちらの情報を入手することなど造作もないだろう。
「しまった。かけ直さないと……」
(ふむ。まずは彼らとの連絡を邪魔しなくてはいけませんね)
下手に連絡を取られてこちらの情報を流されては困る。
碧は焦った様子で携帯をいじる涼介の気を逸らすべく、
やんわりと彼に話しかけた。
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