ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１０１

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅹⅳ

「キキキ」

「あー！！」

　リオの鳴き声に被せ麻里は叫ぶ。

（せっかく心を落ち着かせてる最中だったのにぃ！）

　これでは年長者の威厳もへちまもない。

バクバクとする心臓を押さえていると、

邦夫の穏やかな声が聞こえてきた。

「太一君。茹で汁は両足にかけてやるべ」

「え、そうなの？　わかったー」

　邦夫の言葉になんのためらいもなく太一が頷く。

左側にかけてきた茹で汁を右側へ移動する間、麻里は祈った。

（あー！　これで失敗したら今度こそ首かも！）

　いや、首だけで済めばいいが、

あの上司のことだから怒ると何をされるかわからない。

（神様、仏様、雪姫様！　どうか上手くいきますように！）

　必死で手を合わせていると、太一の明るい声が響いた。

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