ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１０４

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅹⅶ

「あれ？　池のほうに進んでるのかな？」

「んだ。池についたら、鍋をかけるべ」

　首を縦に振る邦夫を見ながら麻里はこめかみに手をやる。

「初めての場所だから何がなんだかさっぱりだわ……」

　目の前で起こっていることが不可思議すぎて、

正直気持ちの整理がつかない。

（まさかドッキリとかそういうことなんかじゃないわよね……？）

　何を考えているのか読めない上司のメガネ顔を思い浮かべ

ふと息を漏らしていると、太一が腕に手をあててくる。

「リオのおじいちゃんがいるから大丈夫だよ」

　にこりと微笑むその顔は愛らしく、麻里は自然と口を綻ばせた。

「そうよね。おじいさん、お願いします」

　心の中で気を遣ってくれてありがとう、と礼を告げていると、

邦夫がまたしても涙を零しはじめた。

「ぐずっ。もも、ひぃっく。もちろんだべ」

「キーキ……」

　邦夫の泣き顔を見てリオが呆れ気味な声をあげる。

（なんかいいなあ、おじいさんと孫って）

　典型的な核家族で育った自分にはわからない光景に、

麻里は羨望を込めて２人を見つめた。

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