ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１０６

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅹⅸ

「キキキ」

　里夫の声に太一は、孔雀から池へと目線を移す。

黒っぽい棒状の何かが水面から顔を出し始めていた。

「あ、なんか変なのが池の中から出てきた」

「何かしら？」

　小走りで近づいてきた麻里も一緒になって注視していると、

邦夫だけが一人平然とした様子で応えてきた。

「そこに鍋をつるすべ」

「キキキキキ」

　指を差す邦夫の言葉に、里夫がはしゃぎながら池へ近づく。

太一もその後へ続いた。

「あ、はい。鍋ですね！　わかりました！」

　麻里が大事そうに胸で抱えていた鍋を出して恐る恐る鍋をつるす。

池へ落ちないよう足を踏ん張っていたのか、

無事に鍋をつるし終えたときには顔が赤らんでいた。

だがそんな彼女の必死さを見ていなかったのだろう。

邦夫が飄々とやり直しを伝えてきた。

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