ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１１

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

一

ⅹⅰ

　食材とバッグを前かごに入れ、自転車を漕ぐ。

今日は何に手を取る度高松の顔がチラついたおかげで、

余計な出費を防ぐことができた。

「少しは怒られないようにしないとね」

　鼻歌を歌いながら真っ直ぐの道をのんびりと進み、

ほどなく見覚えのある家を見つける。

「到着！」

　自転車を降りて停め、前かごから荷物を取りだす。

何も言わずに持っていってしまったから、きっと怒っているだろう。

麻里は律子の顔を思い浮かべ、身を引き締める。

「ちゃんと謝らなくちゃ」

　決意とともにインターホンを押す。

だが、いくら待っても返事がない。

「まさかいない、とか？」

　相手が不在である可能性はまったく想定していなかった。

「どうしよう」

　一度帰るべきだろうか。

考え込んでいると、横合いから声がかかった。

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