ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１１０

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅹⅹⅲ

「キーキ！」

「どうしたの、リオ？」

　鳴きだすリオに太一が尋ねると、

地鳴りのような音をたて像が動きはじめた。

「雪姫様が！」

　麻里は叫ぶ。

驚き佇む目の前で、紙玉が飛び鍋へと落ちた。

水が跳ねるのを半ば茫然見ていると、太一が問いかけてくる。

「お姉さん、今の見た？　デコピンで紙玉を飛ばしてたよ」

「見たわ！　鍋を見てみましょう！」

　我に返り太一を促す。

すると、太一が小さく目を見開き、それから頷いた。

「あ、そうだね」

　なぜか驚いているらしい太一を前に麻里は一瞬行動をためらう。

（私、また何か失敗したのかしら）

　いつも用心に用心を重ねているつもりだけれど、

慣れない土地だけに不安は募った。

だからと言って、何もしないわけにもいかない。

間違った時は、また大人しく叱られよう。

麻里は決意して鍋へ近づく。

後ろからついてきた邦夫がのんびりとした口調で確認してきた。

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