ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１１２

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅹⅹⅴ

「これは、私には読めない文字だわ……」

　確か昨日行った場所で石碑に書いてあった字だ。

あの時は満がいたが今はいない。

「そんなー。お姉さん、先生なんでしょう。本当に読めないの？」

「ごめんなさい。黄梅文字は私にはわからないの」

　不満げな太一に心から謝罪していると、リオが騒ぎだした。

「キキキーキ。キキキキーキキキッキキッキ」

　どこか得意げなリオの様子に、麻里は歓喜する。

「リオ君、読めるのね！」

「キー！」

　確信を持って問うと、リオが激しく頷いた。

「リオ。変な慰めなんかするなよ。文字が読めないと解読できないんだぞ」

　太一の冷静な突っ込みに麻里は目を見開く。

どうやら思い込みでリオの心を読み違えてしまったようだ。

麻里は深く反省しつつ、一礼する。

「あ、慰めてくれたのね。ありがとう、リオ君」

　気を取り直して微笑むと、リオが照れたように身をくねらせた。

が、すぐさまはっと動きをとめ、再度鳴きだす。

ぶんぶんと首を横に振るリオを前に、太一が目を瞠った。

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