ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１１６

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅹⅹⅸ

「紙に書かれている言葉は『ムササビ』だべ」

「『ムササビ』って！　じゃあおじいさんたちのこと、ですよね？」

「んだ。雪姫様は粋な計らいをしてくださったんだべ」

　邦夫の紙を持つ手を震える。丸くて大きな瞳が再び潤み出した。

（ま、また泣いちゃうのかな？）

　ハラハラしながら邦夫の顔と麻里の顔を交互に見ると、

彼女と目が合った。

「ムササビさんたちがどうしたらいいんでしょう？

何かわかる？　太一君？」

　急に話題を振られ、太一は頭が真っ白になる。

邦夫に気を取られていたため何も考えていなかったのだ。

しかし、邦夫がすぐに麻里の問いに応えてくれた。

「これが宝物庫の暗証番号になるはずなんだべが……」

「キーキ？」

　邦夫が言葉を濁す。

里夫が心配げな顔で彼の頬へ小さな手をあてた。

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