ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１２４

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

五

ⅳ

「それじゃあ、もともとは大きかったんでしょうねえ！　……あら？」

　壁へ手をつけたまま宝物庫の扉へと向かう麻里の足がふいに止まる。

彼女の後ろからぴったりとつくように歩いていた太一は、

麻里の背中に顔をぶつけそうになりのけぞった。

「どうしたの、お姉さん？」

　麻里の顔を覗き込むように体を傾けると、

彼女は何か見つけたのか小走りで前へ進んだ。

「これ何かしら？　切り株？」

　麻里が指差した先には、むき出しになった根を大きく広げ

地面へ這わせた切り株が生えていた。

まるで宝物庫を守っているかのようなそれに太一も近づく。

「キー！」

「あ、リオ！　今までどこに行ってたんだよ」

　ここへ向かう道中、里夫は先導するように駆け出しかと思えば

さっさと自分たちを置いて行ってしまった。

太一もあとを追いかけようとしたが、邦夫と麻里に阻まれ、

追いかけることができなかったのだ。

太一が置いて行かれたことへの文句を里夫へぶつける。

だが、彼には伝わっていないようだ。

何食わぬ顔で麻里の肩へ移動すると、

彼女の腕を伝って切り株の上へと移動した。

「それは、わしらの手だべ」

　おもむろに告げられた邦夫の言葉に太一は目を見開いた。

「手？」

「手？！」

　一体どういうことなのだろうか。不気味なことを言い出した邦夫に、

切り株へ手を伸ばしかけていた麻里が手をひっこめた。

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