ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１２９

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

五

ⅸ

「太一君たちはしばらくそこで待っていて」

「キー！」

「わかった。リオと待ってるー」

　邦夫のあとを追いかけようと背を向ける麻里へ、

太一は元気よく返事をした。

里夫と自分の体を使って遊び始めようと右腕を伸ばすと、

邦夫のあとを追いかけたはずの麻里が踵を返してきた。

「あ、そうだ。太一君。ペットボトル貸してくれるかしら？」

「ペットボトル？　あ、水を入れるんだもんね。ちょっと待って」

　あの場所から素手で水を持ってくるのは大変だ。

ここへたどり着いたときにはなくなっているに違いない。

太一は急いでリュックを下した。

「キー！」

「うわっ、リオ。邪魔しないでよ」

　肩にいた里夫がリュックを開けることを阻むかのように、

腕を伝い駆け降りリュックの上を陣取る。

そして、鳴きながら飛び跳ね始めた。

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