ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１３５

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

五

ⅹⅴ

「ありがとう、リオ。リオのおじいちゃん！　早く水かけて」

　機嫌がなおった里夫の気持ちが変わらないうちに次へ進みたい。

彼を宥めるのは骨が折れる。

太一は内心で愚痴りながら、未だに困惑気味の邦夫を促した。

そのあとを麻里が続く。

「お願いします、おじいさん」

「お、おう。わかったべ」

　鼻息を荒くして迫る彼女の姿に、

邦夫はたじろいでいるようだった。

きっと肉球の形をした切り株の暗証番号を早く解きたい一心

なのだろう。麻里の気持ちはよくわかる。

太一も、今か今かと邦夫が切り株へ水をかけるのを待った。

「よし、これで動くはずだべ」

　鍋の水を手で掬いながら満遍なく切り株にかけると、

邦夫が麻里のほうを見る。

「はい。じゃあ……」

　麻里が恐る恐るといったふうに手を伸ばす。

そして、玉を回し始めた。

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