ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１３８

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

五

ⅹⅷ

「うわー！　真っ暗で何も見えないよ」

　真っ暗な倉庫の中で太一が叫ぶ。

麻里は壁伝いに電気のスイッチを探して押した。

「あ、ついたわ」

「良かったー。お姉さんありがとう」

「どういたしまして」

　お辞儀をしてくる太一に倣い礼をして、

視線を上げた少年と笑い合う。

「人間には少し暗かったかもしれんのー」

　のんびりとした口調で告げる邦夫へ、太一が口を尖らせた。

「少しどころじゃなかったよ。何も見えなかったよ。ねえ、お姉さん」

　太一に同意を求められ、麻里は頷く。

「ええ。うっすらしか見えなかったわ」

　話しながら辺りを見回し、手近にあった箱の埃を払った。

「それにしても、どれも古くて大事そうな物ばかりね」

　古美術に興味があるわけではないが、

雑然と置かれた漆器やら皿やら巻き物は年代物に見える。

「本当だね。壊しちゃったら怒られちゃいそうだね」

　太一が小さく肩をすくめ、話を転換してきた。

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