ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１４４

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

五

ⅹⅹⅳ

「わかりづらい説明ですみませんでした」

「お姉さん、そこは怒ってもいいところだよ」

　申し訳なさそうにしょんぼり頭を下げる麻里へ

太一は拳を握りながら囁く。

しかし、声が小さすぎたみたいだ。

説明を始めた邦夫の声にかき消されてしまった。

「どうもこの潮富根観音寺から八蜘蛛神社までの地図のようだべ」

　邦夫が紙に描かれている線を指でなぞりながら、

次の神社までの道のりを示す。

麻里がそれを舐めるように目で追う。

「じゃあ、私たちはこれから

八蜘蛛神社に向かえばいいんですね？」

　邦夫が地図から手を離した。

そのあとを追うように、

麻里は他に何か補足はないかと確認するかのように邦夫を見つめる。

「そういうことになるべーかのう？」

　顎を指で擦りながら首を縦に振る邦夫へ、

麻里が瞳を輝かせる。

「なら話は早いです！　すぐ行きましょう！」

「キキ！」

　麻里の提案に、待ちきれないのか

頭上にいた里夫が代わる代わる３人の肩に飛び移る。

再び頭を戻ってきた里夫を手のひらに乗せ、

太一は笑みを浮かべて麻里たちへ顔を向けた。

「そうだね！」

　早速、今から八蜘蛛神社へ行こう、

と宝物庫を出たところで携帯が鳴っていることに気づく。

太一は携帯を取るため、歩を止めた。

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