ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１４５

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

六

ⅰ

「あ、ちょっと待って携帯が鳴ってる……」

　携帯を受けようとする太一へ麻里は問う。

「あら、大変。お母様かしら？」

　そうだとしたらぜひご挨拶せねば。

内心で意気込んでいると、太一が首を振った。

「ううん、違う。カケルから。どうしたんだろう？　……もしもーし」

「翔君？　こっちに来てくれるのかしら？」

　翔から電話と言うことはおそらく律子が帰ってきているのだろう。

律子がこちらへ来てくれるなら、これほど心強いことはない。

「友達から電話だべか？」

　邦夫の問いに麻里は頷いた。

「そうみたいです。

翔君のお母様の律子さんは昨日助けてくれた方なんです」

　なるべく簡潔に伝えると、邦夫が見上げてきた。

「娘さんは、太一君と一緒に黄金梅を咲かせようとしてるんだべか？」

　目を細めてくる邦夫に麻里は言葉を詰まらせる。

思わず本当のことを言ってしまいそうになるのを

手を握りしめることで堪えていると、ふいに影が走った。

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