ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１５１

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

六

ⅶ

「そうよ。だって律子さんからも梅の香りがしたんだもの」

　驚いているらしい太一を前に麻里は目をしばたたかせる。

太一が携帯越しに翔へ確認を取りはじめた。

「カケル知ってた？　え？　知らない？　でもお姉さんはそうだって言ってる」

「確かあの時翔君もいたはずよ」

　疑われているのかと思うと心外だ。

（本当のこと言ってるだけなのになんで信じてくれないのかしら）

　麻里は内心で憤慨しながら太一を見る。

視線に気づいたらしい太一が背中を向け小声で話を続けた。

「うん。うん。え、でもお姉さんは先生なんだから大丈夫だろう？」

　聞こえないように言っているらしいのが癇に障る。

麻里は少し声を張り太一へ話しかけた。

「聞こえてるわよ、太一君。私は絶対絶対大丈夫！」

　胸を叩いて見せたのに太一がきちんと聞いてくれた様子はない。

「梅の実信仰？　危ない人？」

「そんなんじゃないわ！　危なくなんかないわよ！　私は善良な市民よ！」

　とんでもない言われ方に麻里は鼻息を荒くする。

（濡れ衣だわ！）

　誤解はきっちり晴らさなければ、と太一へ詰め寄ると、

太一が困ったように携帯へ告げた。

to be continued...

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