ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１５４

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

六

ⅹ

「すごいわ！　これならきっと黄梅も開かれたいい市になるわ！」

　麻里は感動のあまり湿っぽくなった目尻をそっと押さえる。

「キキキキキキーキ？」

　リオが鳴き声とともに首を傾げながら見つめてきたので訳を話そうとして、

はたと重大なことに気がついた。

「いけない！　さっそく上司……じゃなかった、知り合いに連絡しなくっちゃ！

私、ちょっと電話してきます！」

　太一から離れ携帯を取りだすと、後ろからリオの声が聞こえてくる。

「キキキキッキキー！　キーキ！」

「ぐずっ。ん、里夫なんだべ？　お嬢さん？」

　邦夫の問いかけてくるが報告が先だ。

　アドレス帳機能で高松の連絡先を検索し呼び出しを待つと、

しばらくして耳元から上司の声がした。

「もしもし。はい。今ちょうど進展がありまして。

でもちょっと困ったことになってまして」

　麻里は極力平静な声で慎重に言葉を紡ぐと、

高松が珍しく怒らず話を促してきた。

『そうか、くわしく報告してみなさい』

「はい、実は……」

　高松の落ち着いた声に励まされ、

麻里はこれまでに起こった出来事を説明しはじめた。

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