ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１５５

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

六

ⅹⅰ

「キキキキッキキー！　キーキ！」

「ぐずっ。ん、里夫なんだべ？　お嬢さん？」

　里夫のまくし立てるような鳴き声が聞こえてくる。

翔と話している間に何かあったのかもしれない。

太一は、携帯を切ろうと翔との会話を畳むことにした。

「もしかしたらおばちゃんのことだから、

すぐに帰ってくるかもしれないよ。

だから、カケルも元気だして。

また何かわかったら電話するからね。うん。じゃーね」

「キキキ」

　不安そうな親友が元気になり安堵しながら携帯を切ると、

里夫が顔面目掛けて飛びかかってくる。

「うわぁ、リオどうしたの？」

　顔に張りついてきた里夫を手のひらへ乗せる。

そして事情を聞こうと邦夫へ顔を向け、目を瞠った。

「おじいちゃんがまた泣いてる……ってあれ？

お姉さんはどこに行ったの？」

「キッキキキッキ」

　麻里の存在がないことに気づき、

手の上で自分の存在をアピールするかのように跳ねている

里夫へ質問する。

彼の小さな指が示すほうへ視線をやると、

麻里が携帯を片手に何度も頭を下げているところだった。

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