ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１５７

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

六

ⅹⅲ

「ちょっと知り合いに電話をしてたの。

いろいろと案内するって約束していたから」

（なんだ校長先生じやなかったんだ。良かった）

　麻里が叱られていたわけではないとわかり、

太一は頬を緩める。

「そうだったんだ。あ、そうだ。

お兄ちゃんに電話しなくっちゃ！」

　彼女のことで忘れていたことを思い出し、

太一は慌てて握ったままの携帯から涼介へ電話をかける。

数回のコールのあと、低く優しい青年の声が聞こえてきた。

「もしもし、お兄ちゃん？　ぼく太一」

　数日前に会ったばかりだというのに

もう何日もあってないかのような懐かしさを感じる。

落ち着きのある涼介の物言いに太一は自然と口元を綻ばせた。

「うん。あのね。

カケルのおばちゃんが帰ってこなくって、

黄金梅を咲かせようとしてたんだって。

でもカケルはお姉さんを信用できないって言うから、

お兄ちゃんに相談しようと思って……」

「仲間が増えるなんて素敵だわ！」

「ありがたやー、ありがたやー」

　涼介と繋がっていることに興奮し

思いつくまま言葉を重ねる傍らで、

麻里と邦夫が拝むように両手を合わせながらこちらを見ていた。

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