ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１６７

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

六

ⅹⅹⅲ

「キーキ、キキッキキ」

　リオも何やら嬉しげな様子で邦夫の肩で鳴く。

麻里は敗北感に打ちひしがれながらも、

電話の相手についてさりげなく探りを入れることにした。

「ずいぶん丁寧な子ね。同じ初等部の子なの？」

　所詮ませただけの小学生なのだから、

どこかに計画の穴があるはずだ。

（そうよ。その時こそ真の年長者の見せ所なんだから）

　密かにリベンジを決め込んでいると、

太一がかぶりを振ってくる。

「ううん。お兄ちゃんは初等部じゃないよ。もっとお兄さん」

　衝撃的な話を聞き、麻里は目を瞠った。

「そうなの！　いい人みたいだけど、でも気をつけなくちゃだめよ。

知らない人にはむやみについていかないほうがいいわ」

　指を立てて注意をすると、太一が瞳をしばたたかせる。

「知らない人じゃないよ。

それにそれを言ったらお姉さんだってそうなっちゃうよ。

ふふふ、おっかしー」

　笑う太一を前に、半ば強引に家へ連れてきたことを思い出し

内心で冷や汗を流しつつ、虚勢を張ってみた。

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