ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１６８

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

六

ⅹⅹⅳ

「あら！　私は大丈夫よ。だって先生だもの！」

「えーでもカケルには信用されてなかったよー？」

胸を叩いて結論付けるも太一に首を傾げられ、

麻里は言葉を詰まらせた。

「う……」

　ぐうの音も出ずうなだれていると、リオが口を開いてくる。

「キキキ！　キーキキキキキッキキー」

リオの鳴き声に邦夫が深く頷いた。

「んだ。里夫の言う通りだべ。

じゃれ合うのはあとにして、さっさと『わさび谷』へ行くべ」

　宣言するなり邦夫が歩きだすと、

あ、そうだった、と太一も駆けだす。

「お姉さん、何してるのー？　置いてっちゃうよー」

「はい……」

　できればもう少しお姉ちゃんがいないと始まらないよ、

的な言葉が欲しかったのだが。

麻里は振り向き無邪気な微笑みを向けてくる太一に短く答え、

ぼとぼと少年の後を追うのだった。

第二章　太一麻里編　了

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