ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１８

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

一

ⅹⅷ

「わかんないや」

　無邪気に微笑んでくる太一を見てふと吐息していると、

自転車を置きにいっていた翔の声が聞こえてきた。

「太一の言ってるお兄さんって昨日会った、あの人のことだろう？」

　家からでてきながら翔が太一へ問いかける。

「おばちゃんいなかったの？」

「うん。このお姉さんの言うとおり、どっか行ったっぽい」

　問い返した太一が翔の言葉に肩を落とした。

「そっかー。それだとカケルん家では遊べないね」

　がっかりしたように眉を寄せる太一を眺めながら、

麻里は考え込んだ。

（律子さんの時と同じだわ）

　あの時も、自分は梅の香りに誘われて律子と会ったのだ。

ということは、この子も梅の種を植えたということだろうか。

深い思考の迷路に迷い込んでいると、前方で翔が叫んだ。

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