ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その２

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

一

ⅱ

「そういえば太一！　次のステージに行けたんだぜ」

　翔の嬉しそうな表情に、太一も目を輝かせる。

　次のステージというのは、発売されたばかりの

『太郎少年が獣人を味方にして雪姫様を救出する』といった

一風変わった『すごいよ太郎さん』というゲームのことだろう。

太一が今もっとも欲しいゲームソフトだ。

　昨日も葉っぱを採取し疲れていたにも関わらず、

『すごタロ』の魅力にひかれて翔の家に遊びに行ったほど、嵌っている。

遊ぶ度に新しい発見があり、そのゲームのボス面に昨日は挑戦したのだ。

しかし、二人で何度も挑んでみたものの中々倒すことができなかった。

遊び始めた時間が遅かったこともあり、太一はボスを倒せないまま

家へ帰らなくてはならない時間になってしまったのだ。

　次の面へ進んだということは翔が、あの強敵を倒したということだろう。

太一は翔へ喝采を送った。

「すっごーい！」　

「だろう」

　まんざらでもなそうに翔が鼻の下を人差し指でこする。

「でもお前が最後にあの塀を使ったジャンプの方法を

見つけてくれなかったら倒せなかったぜ、きっと」

「えー、そうかな。えへへへ」

　翔に褒められ、太一は嬉しくなった。

それと同時に、改めて翔がいい奴だと再認識する。

もし自分だったら、強敵を倒した手柄を独り占めしたに違いない。

（カケルってすごいよなー）

　しみじみ感心していると、

心の声が聞こえたかのように翔がニカッと微笑んだ。

「だから、今日はお前からやっていいぞ。

今度の面は床が氷で走るとツルツル滑るんだ」

「本当！　わーい、やったー！」

　ご褒美だと言わんばかりに告げられた言葉に、太一は万歳して喜んだ。

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