ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その２４

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

一

ⅹⅹⅳ

「それにしても、葉っぱ……。

っていうことは、それを何かで焼けってことなのかしら……」

　ひとりごちているその前で、翔が太一へ問いかける。

「朝から何持ってるのかと思ってたら……その中に葉っぱが入ってるのか？　

葉っぱは木に生えるものだろう。お前、どっから盗んできたんだよ」

　翔の言葉に太一が三白眼になった。

「盗んだんじゃなくて、実らせたの！」

　首をかしげる翔に埒が明かないと思ったのか、

太一が視線を向けてくる。

「お姉さん、お鍋持ってるの？　それじゃこの葉っぱを茹でて」

　太一の依頼に麻里は目をしばたたいた。

「茹でるの？　焼くんじゃなくて？」

「葉っぱを茹でると湯気が出てきて聞こえない音がするんだよ」

　得意げな太一の話に翔が眉を顰める。

「それって、昔話のムササビを追い払うやつだろう。あれ、俺嫌いだ」

　昔話、という翔の言葉に麻里は目を見開いた。

一つ前を読む　　　 GPの部屋に戻る　　　次を読む