ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その２８

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

一

ⅹⅹⅷ

（大人ってすごいなぁ）

「ええ。引っ越したばかりでまだ何もないけど、

それでよければどうぞ」

　なんでもないように頷く麻里に太一は両手をあげて喜んだ。

「わーい、やった！　あ、カケルはどうする？」

　太一は、いまだにぼんやりしている翔へ視線を向ける。

（おばちゃんいないし、行けないかなー？）

「え？　あ、ああ。太一が心配だから一緒に行きたいけど、

母さんがいないから留守番してなきゃ」

　我に返った翔の返答は予想通りだった。

翔がいれば心強かったのに。

太一はがっかりしながら諦めの言葉を漏らした。

「そっかぁ。でも仕方ないよね」

　同意を得ようと麻里へ目線を移す。

翔の母、律子に会いたかったのか、

眉を八の字に下げていた。

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