ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その３９

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

二

ⅹ

「あ、ありがとう」

　掠れ声で礼を告げ、麻里はジュースを口に含む。

ゆっくり飲み下すと、太一が心配そうな声をあげた。

「ちゃんと噛んで食べないとダメだよー、お姉さん」

「そ、そうね。気をつけなくちゃ。あははは」

　太一の言葉に麻里は反省する。

（そうよね。こんな純粋な子が都の事情なんか知ってるはずはないもの）

　内心で呟きふと吐息していると、太一が愉快げに笑った。

「お姉さん、面白いね。ふふふ」

「そ、そうかしら？」

　顔が面白いとかそういうことだろうか。

（そんなに笑えるような顔はしてないと思うけど……）

　気になって頬に手をあてていると、太一が小首をかしげてくる。

「うん。面白いよー。それでどうして引っ越してきたの？」

　太一の言葉へ麻里は端的に答える。

「先生になりにきたのよ」

「先生なるから、引っ越してきたの？」

　またしても確信を吐くような質問をされ、

麻里は密かに動揺した。

視線を斜めに向け、あわてて肯定する。

「そ、そうよ」

「でももうお姉さん先生なんでしょう？　高等部の。

それなのになんで一人で暮らしてるの？」

　一人暮らしをしていることがなぜ不思議なのだろう。

麻里は目をしばたたいた。

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