ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その４０

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

二

ⅹⅰ

「家族は都のほうにいるからよ」

　あっさりと告げられた麻里の言葉に、太一は目を大きく見開く。

「え！　お姉さん、黄梅の人じゃないの！？」

「……そ、そうよ……」

　てっきり黄梅の人なのかと思っていた。

太一は、舐めるように麻里を観察する。

それが彼女には不快に感じたようだ。

距離を置くように座ったまま体を仰け反らせた。

太一は、麻里の行動に少しだけ悲しくなったが、

気づかなかった振りをして話を続ける。

「そうなんだー。僕、初めてだよ。黄梅の人じゃない人見たの」

「そ、そう？　結構いたりするものよ。うふふ」

「そうなの？　そんなことないと思うんだけどなー」

　いつだったか社会の授業で、

『黄梅に住んでいる人間は特別なのだ』と習ったことがある。

それ故、この場所から出ることはもちろんのこと、

別の市に住んでいる人間が引っ越してくるのも難しいと教わった。

（でも先生をしてるお姉さんが嘘を教えるはずないもんなぁ）

　自分が知らないだけで、

外部から黄梅へ入ってきた人の集まりのようなものが

あるのかもしれない。太一は一人納得した。

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