ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その４８

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

二

ⅹⅸ

　どのくらい経っただろう。

すっかり湯気はおさまり、

グツグツと煮える湯の中を葉っぱが踊っている。

太一は、未だに鍋とコンロを覗き込む麻里へ話しかけた。

「失敗しちゃったのかな？」

「わからないわ」

　小さく顔を横に振る麻里に太一は不安になる。

「ぼく、もう黄金梅実らせられないのかな？」

「そんなことないと思うけど……」

　麻里が、悪いほうへとばかり考えてしまうこちらを慰めるように

言葉を紡ぐ。

だが、彼女自身も確信を持てていないのだろう。

その声音は酷く心許ないものだった。

「せっかく、ばぁちゃんにもらった大切な種だったのにー」

　黄金梅を咲かせ、

祖母に元気になってもらおうと思っていた計画が

自分のせいで失敗してしまったかもしれない。

太一は目尻を涙で滲ませる。

（ばぁちゃんになんて謝ればいいんだろう）

　種をくれた時の祖母の笑顔が哀しげに変化するのを想像し、

太一は肩を落とした。

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