ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その５４

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

三

ⅱ

「うむ。お邪魔しますだべ」

（見た目はあんなに可愛いのになんだか年とった人みたい）

　まるまるとした体を重たそうに歩くムササビを見ていると、

不意に甲高い鳴き声が足元から聞こえてくる。

「キーッ」

「うわー。この子人懐っこいねー」

　まるでこちらを見ろとでも言わんばかりに発せられた声に

視線を戻すと、小さなムササビは白い靴下のつま先から一気に

肩まで駆け上ってきた。

興奮しているのか、左右の肩を行ったりきたりする。

太一は、首筋にあたるムササビの毛に笑みをこぼした。

「ふふふ。くすぐったいよぉー」

「え、えーっと……。お茶でもいかがですか？」

「お構いなくだべ。あー、この格好では話づらいべ。

ちょっくら失礼するべ」

　テーブルへ移動する麻里たちをよそに太一は、

ムササビを捕まえようとする。

しかし、チョロチョロと指をすり抜けていくかのように身体中を

動き回るため、なかなか捕らえることができない。

なんとか取り押さえ胸に抱え麻里たちのほうを向くと、

彼女は一人で玄関に向かって話していた。

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