ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その６７

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

三

ⅹⅴ

「キーキ、キキキ」

「え、えーと……」

（リオって意外としつこいよな）

　そういえば昔、

祖母の家の近くで山のことを教えて貰った時もそうだった。

少しでも間違うと怒る里夫をなだめるために、

よくおやつに持ってきていたお菓子をあげたものだ。

（さっきお姉さんから貰ったお菓子は全部食べちゃったしなぁ）

　お菓子さえ残っていれば簡単だったのに。仕方ない。

ここは自分がひと肌脱ごう。

太一は、助けを求めようと邦夫へ顔をやる麻里の態度に、

目を吊り上げる里夫へ向かって話しかけた。

「リオー。

お姉さんも悪気があってしたわけじゃないんだから

許してあげなよー」

　里夫の怒りが飛び火してこないよう窺っていると、

邦夫が数回ゆっくりと頷く。

「んだ。太一君の言う通りだんべ。

こんなめで、めでたい、とぎに゛い゛いぃぃぃぃぃ」

　何が琴線に触れたのか。

やっと落ち着いたと思っていた邦夫の涙が再び溢れ出した。

一つ前を読む　　　 GPの部屋に戻る　　　次を読む