ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その６９

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

三

ⅹⅶ

「すごいわ、太一君。リオ君の言ってることがわかるのね！」

　感動して両手を胸の前で組み太一を見ると、

太一が首を横に振る。

「うんん。全然、わかんない」

　あっけらかんとした答えに、

麻里は軽くバランスを崩したたらを踏んだ。

（あー、まあ、当然よね）

　動物の言葉がわかる人間などまずいない。

リオ君は小さくても獣人だからもしかしてと思ったのだが、

などと内心で考え麻里はこっそり自嘲する。

他人の、それも小学生に頼りきりになっていたようだ。

（しっかりしなくちゃ）

　小さく頬を掻いていると、太一が照れたように微笑んでくる。

「エヘヘ。でも、わかんないけど。あってると思うよ。ねっ、リオ」

「キー、キキ」

　同意を求める太一へリオが頷く。

「そ、そうなの？」

「キキ」

　再度首を縦に振るリオを前に麻里は一瞬思考を停止させた。

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