ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その７６

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

三

ⅹⅹⅳ

「リオのおじいちゃんは満さんって人と喧嘩してるってこと？」

「そうなんですか？」

　押し黙る邦夫に、麻里が応えを急かすように話しかける。

しばらく黙考したあと邦夫小さなため息を１つした。

「喧嘩をしてるってわけじゃねーべ」

「キー」

「そうなんですか。よかった。喧嘩は悲しいですものね」

　寂しげに鳴く里夫の声に麻里が眉を下げる。

喧嘩をしているわけではないのならなぜそんな顔をするのだろう。

太一は要領の得ない邦夫の返答にさらなる問いを口にした。

「喧嘩してないのに、仲が悪いの？」

「仲が悪いってわけでもねーべ。あいつの気持ちはわしらもわかる。

だけんども、あいつの味方にはなれねーんだ」

　眉間にしわを寄せ、痛みを堪（こら）えるような邦夫の口調に、

周囲の空気が重たくなる。

「難しいね。お姉さん、わかる？」

　聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうか。

太一は空気を変えようと、麻里へ助けを求めた。

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