ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その８７

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

三

ⅹⅹⅹⅴ

「鍋が必要なんですか？」

「ああ。もちろんだべ。

黄金梅に関係したものは肌身離さず持っていくのは常識だべ」

　そうだったのか。

黄梅のことについては兎角疎いのでまったく知らなかった。

やっぱりもう少し勉強しなくては。

麻里は密かに反省しながら鍋を手に取る。

「そうなんですね。わかりました。じゃあ鍋は私が持っていきます」

　鍋をビニール袋へ入れていると、リオが一声発した。

「キー！」

「おう、そうだんべなリオ。そろそろ、準備はいいべ？」

　邦夫がリオに首肯し太一を見る。

「うん。僕は大丈夫だよ。お姉さんは？」

　太一の問いに麻里は肯定した。

「はい。大丈夫です」

　バッグを手にして鍵を探していると、邦夫がのんびりと宣言する。

「それじゃ、行くべーか」

「キー！」

「おー！」

　リオと太一が元気よく応じるのに倣い、見つけた鍵を手に麻里も答えた。

「はい！」

　部屋を出て行く一行に続き靴を履く。

ヒールにしようとして昨日の失態を思いだし、黒いスニーカーを履いて玄関をでた。

一つ前を読む　　　 GPの部屋に戻る　　　次を読む