ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その９３

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅵ

「え、どこどこー？」

　眉根を寄せて目を凝らす太一を邦夫が促す。

「ほれ、あそこだべ」

「キキキ！」

　邦夫が再度示した枝から鳴き声が響き渡り、何かが滑空してきた。

「うわぁ！　リオ、すごーい！」

　軽やかな身のこなしで、リオが太一の頭に着地する。

あまりの優雅さに麻里は小さく息を呑んだ。

（満さんにも驚いたけど、リオ君も流石だわ）

　人間ではあそこまで華麗に木を上ったり下りたりはできない。

（あ、でも体操の選手とかなら違うのかしら？）

　ふと浮かんだ疑問に頭を悩ませていると、

太一が歓喜の声をあげる。

「わぁ、ふふふ。くすぐったいよ、リオ」

　少年とムササビ。

緑の生い繁る中、これ以上絵になる風景もないだろう。

じゃれ合う２人を微笑ましく思っていると、邦夫が頷いてきた。

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