ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その９４

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅶ

「リオもちゃんと帰ってきたべ。これで孔雀さんのところへ行けるべ？」

　邦夫の言葉に麻里は目を瞠る。

「孔雀がいるんですか？　ええっと、それってどういう？」

　孔雀なんて動物園にもいるようでいない鳥だ。

もしかして、触れたりするのだろうか。

興奮して邦夫の言葉を待っていると、太一がくすりと笑んできた。

「孔雀さんは本物じゃないんだよ。銅像なの。ね、リオ？」

「キー！」

　２人の言葉がいまいち理解できず、麻里は首をかしげる。

「銅像なの？　えっと、それって孔雀の？」

　曖昧な口調で尋ねると、太一がかぶりを振ってきた。

「ううん、違うよ。天狗さんの銅像が夜になると孔雀に変化する

っていう言い伝えがあるんだって」

　太一の話に驚き、麻里は手を打つ。

「ずいぶんファンタジックな展開ね！　本当なら、だけど……」

　仁王が動いたこともあるので嘘だとは言えないが、俄かには信じがたい。

（もしかして、銅像がロボットとかいうオチだったり？）

　黙考していると、リオが不服げに鳴いた。

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