ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その９６

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅸ

「実際は、夜にならなくても孔雀さんに変化するんだけんどもな」

（孔雀に変身するところが見られるってことだよね？　すごい！）

　太一は邦夫の言葉に期待で胸を高鳴らせる。

だが、麻里には困惑のほうが多いようだ。

「天狗さんが孔雀さんにって、どんな意味があるんですか？」

「キーキキ」

「意味なんて知らねーべ。

昔っから、天狗様にゆで汁をかけると孔雀さんに変化するって

ご先祖様から言われてるんだべ」

　邦夫の説明に納得できないのか、麻里が眉間に皺を寄せる。

（どうしてあんな難しい顔をしてるんだろう？）

　天狗が孔雀に変化することに何か問題があるのだろうか。

太一は内心で首を捻る。

（もしかしてこれがママの言ってた

『子供いいわよね、単純で』ってことなのかな？）

　大人は周りの状況や、裏、

果てはその後の予測まで考えなくてはいけないため

素直に喜べないのだと母、一美（かずみ）が

言っていたのを思い出した。

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